
お子さんのスマートフォン(スマホ)を使う時間を見て、「使いすぎじゃないかな」「このままでは子育てに悪い影響が出るかも」と心配になるお父さん、お母さんは多いと思います。
また、サッカーなどの習い事でがんばっているはずなのに、なかなか上手にならない場合、その原因が生活のくせ、特にスマホにあるかもしれないということが、科学のデータからわかってきています。
東北大学などの大きな調査で、スマホを長い時間使うことは、ただの気のゆるみや寝不足によるものではなく、子どもの脳の発達と学力そのものを生物学的に「こわしてしまう」可能性があることが明らかになりました。
この記事では、スマホが子どもたちの成長、特にスポーツや勉強に必要な**「生きる力」**をどのようにじゃまするのか、そして保護者の方が今すぐに取り組める改善方法を説明します。
この記事の目次
第1章 スマホ依存がもたらす「脳の発達が止まる」というこわさ
特に悪い影響がはっきりと出るのは、**前頭前野(ぜんとうぜんや)**と呼ばれる脳の前の部分です。前頭前野は、人間が頭を使って活動するときに大切な、次のようなはたらきを担当する「脳の司令塔」です。

- 考える、理解する、覚えるといった頭のはたらき
- がまんしたり、努力したりする力(自分をコントロールする力)
- 気持ちや行動を理性的にコントロールする力
- 人と話し合ったりする力(コミュニケーション能力)
脳は筋肉に似ていて、たくさん使えば発達し、使わなければ弱くなります。スマホやゲームを使っている間、この大切な前頭前野がほとんど活動しないことがわかっています。1日に何時間もこの大切な部分を使わないくせが続くと、その分、はたらきが弱くなっていってしまうのです。
成績がいい子がいなくなる

勉強時間やねる時間を十分にとっていたとしても、スマホを1日3時間以上使っている子どもたちは、成績がいい(偏差値50以上)グループから完全にいなくなってしまうというデータがあります。これは、脳がちゃんと発達していないために、努力しても情報が頭に入っていかないという生物学的な理由が考えられます。
「ながら勉強」のむだ

勉強しながらスマホを使う、いわゆる「ながら勉強」は、勉強の効果をとても低くしてしまいます。スマホをいじりながら3時間勉強したとしても、集中して行ったたった30分の勉強の効果しか得られていないという、おどろくべき結果が示されています。
第2章 サッカーを習う子どもの成長をどう邪魔する?

前頭前野や、言葉・記憶・気持ちを担当する部分の発達が止まると、それは学校の勉強だけでなく、サッカーのようなチームスポーツに必要な力や、人と上手につきあう力の発達も、直接邪魔してしまうことになります。
サッカーに必要な力が育たない
サッカーでは、次のような力がとても大切です。
- 判断力: ボールを持ったらどこにパスを出すか、どう動くかをすぐに決める力。
- がまん強さ: 練習がきつくても、試合で負けていても、あきらめずにがんばる力。
- チームワーク: 仲間と声をかけ合い、協力する力。
スマホの使いすぎで前頭前野の発達が止まると、この「判断力」「がまん強さ」「チームワーク」のもとになる力が育ちにくくなってしまうのです。そのため、練習をたくさんしていても、なかなか上手にならない、試合でいい判断ができない、ということが起きてしまうかもしれません。
体を動かす時間が減ってしまう
スマホやゲームに夢中になると、外で遊んだり、体を動かしたりする時間が自然と減ってしまいます。サッカーが上手になるためには、技術の練習だけでなく、走る、跳ぶ、体を動かすことで身につく「運動能力」もとても大切です。スマホの時間が長いと、この運動能力を高めるチャンスも減ってしまうのです。
第3章 スマホ依存からぬけ出し、成長をとりもどす方法

実際に、長い時間スマホを使っていた子どもたちのうち、自分の力だけで使い時間を減らすことができたのは、わずか1割くらいしかいませんでした。だからこそ、大人のサポートがどうしても必要です。
スマホを使う時間を決めよう
スマホを使う時間は、「どんなに長くても1日1時間以内」を目指しましょう。まずは今の使い時間をはかってみて、少しずつ減らしていくことが大切です。
お家のルールを作ろう

家族で話し合って、次のようなルールを作ってみましょう。
- ごはんを食べているときは使わない。
- ねる前の1時間は使わない。
- 勉強しているときは、スマホは別の部屋に置いておく。
大人もこのルールを守るようにすると、子どもも守りやすくなります。
お父さん、お母さんがお手本になろう
お父さんやお母さん自身がスマホを使う時間が長いと、子どもの使い時間も長くなり、勉強する時間が短くなってしまうという関係があることがわかっています。まずは大人が「よいお手本」を見せてあげることが、とても大切です。
スマホをしまうくせをつけよう
家で勉強するときは、スマホをカバンや引き出しの中にしまうくせをつけましょう。スマホが目に入らないところにあるだけで、勉強に集中しやすくなります。このくせがある子どものほうが、学力が高いというデータもあります。
調べる時は紙の辞書を使ってみよう

わからない言葉をスマホですぐに調べるのではなく、紙の辞書で調べてみましょう。
スマホは「短い時間でたくさんのことを調べる(情報を集める効率を高める)」という目的では、もちろんとても優れています。
しかし、「情報を自分の知識としてしっかり身につける(学習する)」という目的では、効率が悪く感じられても、紙の辞書が持つ「脳をきたえる」という効果が必要です。
辞書を引くことで得られる3つの効果
効果1: 脳の「筋トレ」になる
辞書を引くという「行動そのもの」が、考えたり理解したりする力をつかさどる前頭前野の活動を急に高め、その高い状態を保ちます。これは、脳が活発にはたらいている状態であり、脳の筋力トレーニングになっています。
効果2: 記憶に残りやすくなる
脳が情報を得るために自分で労力をかけることで、「これは覚えるべき情報だ」と判断し、知識として長く記憶に残そうとします。紙の辞書で調べた場合、スマホで検索したときと比べて、単語の意味を後で思い出せる割合が高かったという研究結果もあります。
効果3: 自分から情報を取りに行く力がつく
ページをめくったり、調べたい言葉を探したりする一連の行動は、受け身的に(ただ情報を見ているだけの)スマホの使い方とは違い、脳に負荷(労力)をかけて、自分から進んで情報を取りに行く活動になります。
本を読む時間に変えてみよう

「辞書を引くのは、今の時代には現実的ではない」と感じる方もいるかもしれません。そんなときは、スマホを使う時間を、本を読む時間に変えてみることから始めてみましょう。
ある研究では、学力が高い子どもがいる家庭では、読書をする習慣がよく見られるという結果があります。また、「家にある本の数」について調べた調査では、本の数が少ないと学力の点数が大きく下がってしまうことがわかりました。
読書は、スマホに時間を取られていた状態から抜け出して、読書を通じて勉強や知識を身につけることに適しています。スマホの時間を少し減らして、その分を読書の時間に変えることで、子どもの知識が広がり、考える力も自然と育っていきます。
まとめ:バランスの良い生活が子どもの成長を助ける

スマホは便利な道具ですが、使いすぎると学力やサッカーの上達に悪い影響が出ることがあります。スマホを使う時間と、勉強やサッカーをする時間のバランスが大切です。
家族みんなで話し合って、スマホとの付き合い方を決めましょう。ルールを守りながら、サッカーや勉強を楽しむことで、子どもは心も体も大きく成長していくことができます。
スマホをうまくコントロールして、子どもの可能性をどんどん伸ばしていきましょう!








